Ver.2.03 UPDATE 11th AUG 2002

羽生地方の方言には、次のような独特の法則がある。

  1. 語尾に様々な音とイントネーションが付く。
    「行くぞ」「行ぐべ」「−だ」「−だに」「そうか」「そうなん
    「やるの」「やるん(かい)

  2. 「ん」を多用し、ら行を省略する。「べ」を始め語尾が濁音となる。
    「食べよう」「食べんべ」「走ろう」「走んべ」「登ろう」「登んべ
    「頑張ろう」「頑張んべ

  3. 否定(または驚愕する)する場合、相手側を瞬間的に否定する。
    「えーっ、ほんとかよ」「うそべ」「えっ、何だって」「うっぞぅ


単語分類(テキトー)意味用例等
あたい二人称あなた小さな女の子などの二人称。あたい、いくつ?
あんびん名詞***塩で練ったあんの入ったまんじゅう
いがまんじゅう名詞***表面に赤飯がまぶされた羽生独特のまんじゅう
いこむ動詞浸かる
潜る
風呂にいこむ
いこんだまま出ててこねぇ。
いしゃ二人称あなた、君いしゃ、しっかりしろ!(あなた、しっかりしなさい)
いびる動詞炒める(食材などを)炒め、調理する。
「今日のおかずは、野菜をいびったのね(今日のおかずは、野菜をいためたの)」
いぶい形容詞煙たいたき火などの煙でで煙たいこと。
そんなに燃しちゃちゃぁいぶくって
(そんなに燃したら煙たいよ。)
いぶる動詞・形容動詞煙たいことを言う
(煙たがられるようなことを)する
相手に対して(わざと)いやがることをする(言う)こと
あのやろう気にいんないんでいぶってやった。
彼は気に入らないから(煙たがられるように)いってやった。)
いら(えら)形容詞たいそう
ものすごく
いらいいでぇ。(たいそう良いものですね)
うなる動詞怒る
怒鳴る
うなりとっばしてやった。
(怒鳴ってやった)
うなる形容動詞(たわわに)実るほうれん草がうなってからかっぱいできた。
(ほうれん草がたわわに実っていたので収穫してきた。)
うっかく動詞折る・割るぶっくらされて歯をうっかいちゃった
(殴られて歯を折ってしまった。)」
うっきる
(ぶっきる)
動詞切る・切り離す糸がこんがらがっちゃって、ほでけねぇいよ。そんなのうっきっちゃえば。
うっちゃる動詞放置するほれ、うっちゃっちゃっとくとなくしちゃうよ。
(ほったらかしにしておくとなくしちゃうよ。)」
うっつぁばく動詞破るんなもん、とっくにうっつぁばいちゃったべ。
(そんなものはとっくに破りすてました。)」
おっぺす動詞押すの意キーボードのここをおっぺすん?
(キーボードのここを押したらいいの?)」
おなべ名詞残業「夜なべ」が転じてか?
「今日おなべかい?(今日残業するの?)」
かいどう名詞***道路から屋敷までの私道。羽生(ざいの方)では、両側が田畑で50m位ある農家などが点在する。
かっきる動詞(刃物等でいっきに)切る・掻き切る邪魔な柿の枝、かっ切っちゃっせ
(邪魔な柿の枝は切り落としなさい。)
かったりい動詞疲れる
疲れた
だめだよう。えら、かったりぃよう。
(だめだ、ものすごく疲れた)
かっぱぐ動詞1(かさぶたなどを)はがす
2(鎌などで)薙ぐ。刈る。(スコップ等で)積雪を除去する。
3囲い込むように集める。腕を使ってそのような行為を行う。
1 かゆいからって、かっぱぐんじゃねいよ。
(かゆいからって、(かさぶたを)はがしてはいけませんよ。)
2 なっぱをかっぱいでくっから。積もった雪、かっぱいできた。
3 跳び箱を飛ぶときは、もっと腕をかっぱぎな。
かんます動詞1 掻き回す・掻き混ぜる
2 妨害する
1 風呂入るときは、よくかんまして入りな。
(お風呂に入るときは良く掻き回して入りなさい。)
2 まとまりげだったのに、○○にかんまされちった。
(まとまりそうだったのに○○さんに妨害されてしまった。)
ぎご形容詞強情(者)やつぁぎごだかんな。
(彼は強情だから。)
きゃぁこら
きゃぁこら
形容動詞騒いでいるさま娘っこみたいにきゃぁこらきゃぁこらしてんじゃねぇぃ。
(若い娘さんみたいにキャーキャー騒いではいけません。)
ぎら形容動詞あからさま
ストレート
えら、ぎらに言うんじゃねいよ。
(あまりストレートに言うものではありませんよ。)
くっちゃべる動詞(複数で)話す・喋るそんなとこで、くっちゃべってんじゃねぇ。
(そんなところでお喋りをしていてはいけません。)
〜げ??〜気、〜っぽい語尾に「げ」を付け、自分の思う所を相手に強く伝える。
「よさ」(良さそう)、「うま」(旨そう)、「馬鹿」(ばかみたい)
こすられる動詞(言葉などで)軽く攻撃される、牽制されるまったく、奴にこすられちったかんなぁ。
(まったく、彼には(軽く言葉で)牽制されちゃったからな)
ざい名詞田舎?人口密度の低い羽生でもさらに低い地域。
ここはざいだかんねぇ。町いがなくちゃねぇい。
さくい形容詞気さく
ありてい
あの人はさくいねぃ。(あの人は気さくだ)
さくいとこがさ・・(ありていに言うと・・)
さた名詞連絡・通知あれっ、さたがねぇなぁ。
(あれっ、連絡がこないな)
しょっぺい形容詞みすぼらしい
くたびれた
なんだ、この上着ばかにしょっぺいなぁ。
(この上着はたいへんみすぼらしいなあ。)
ずるっこ名詞ずるい(やつ)まーったく、あいつずるっこだよな。
そうなん??***相づちを打つときの常套句。「そうですか」と
いった意味。発音時は語尾が上がる。
だいじゅ形容動詞大丈夫だいじゅかい。(大丈夫ですか?)
だぼち??***子供の頃、所有権を主張する際用いたが
現在使用されてるか不明。
〜(ん)ち助詞やつが(やつん)。おらが(おれん
○○が遊びいぐ?
(○○君の家、遊びにいく?)
つぐむ動詞しゃがむそんなとこでつぐむんじゃねえよ(そんなところにしゃがみこんではいけません)
つけぎ名詞ものをもらったおかえし「つけぎ」とはいわゆる「マッチ(木片に燐を付けた)」のこと。ちょっとしたお返し、粗品として昔用いられたところから。
えらわーりんねぇぃ、つけぎでこれもってって。(すいません。つまらない物ですがこれお持ちになってください)
つっぺる動詞1 転倒する・滑る
2 (滑った結果として)側溝や粘度の高い液体(泥、ヘドロ、肥溜め)の中に突っ込む・落っこちる・はまる
1 そこでつっぺっちゃって、えら痛いん。
(そこで転倒して大層痛い)
2 酔っ払って自転車でドブにつっぺちゃった。
(酔っ払い自転車で側溝に突っ込んでしまった。)
つんもす動詞燃やすこのゴミつん燃しといて。
(このゴミ燃やしておいて。)
てい名詞連中羽生のていは、えら若いんねぃ。
(羽生の連中は、ずいぶんと若いね。)
でこすけ名詞ばか者・愚か者(怒って)この、でこすけやろうめ!
(この、愚か者が。)
てろんてろん形容詞どろどろ
ぐちゃぐちゃ
道がてろんてろんで車がはまっちゃった。
(道がぐちゃぐちゃで自動車がスタックした。)
でんげる動詞転倒する「つっぺる」は、スリップ系による転倒。
「でんげる」は、ジャンプ系(?)の激しい転倒。
飲んでけっ躓いて、でんげっちゃった。
(酔って躓き(大きく)転倒した。)
でんぼ名詞おめぇでんぼっことばっか言ってんじゃねぇよ。
(あなたウソばっかり言っててはいけません。)
てい名詞連中羽生のていは、えら若いんねぃ。
(羽生の連中は、ずいぶんと若いね。)
〜ってんで***〜(という)訳で
理由で
TVに映るってんで着替えてきた。
なっから副詞かなりなっからよいじゃねぇ話だで。
(かなり大変な話ですね。)
なす動詞返す・返却するこのビデオ、早くなしやっせ。
(このビデオ、早く返してきなさい。)
なっぱふく名詞(農)作業着農作業などのとき着用する作業着。菜っ葉から転じてか?
なびる動詞擦り付けるそんなに糊をなびんじぇねぇよ。(そんなに糊を擦り付けてはいけません。)
なんでなんで感嘆詞どういたしましてえらわりいでぇ(すいません)
なんでなんで(どういたしまして)
にほんぼう形容詞?***梯子をはずされる(はずされた)状態。
梯子の横木をはずすと「2本の棒」となる所から。
そんじゃ奴はにほんぼうだで。
(それでは彼は梯子をはずされた状態だ。)
ぬくとい形容詞暖かい・温かいあれ、このまんじゅう、まだぬくといで。
(あれ、この饅頭、まだ温かい。)
ぬくとぼっこ名詞ひなたぼっこ、日光浴エステや日焼けサロンって感じではなく、寒い季節に自宅等の縁側で体験されるもの
のば名詞・動詞@野放し、放飼い(にする)
A(@から転じて)友人同僚等を放っておくこと。また放置された様
「ヤツはいつもそうなんだから、いいよのばで(ほっとけ、やらしとけ俺らは知らん)」
のまわり名詞(田畑の)見回りちょっとのまわりいってっから(ちょっと田畑の見回りに行ってきます)
のめっちょ形容詞(触ると痛いほど)とんがったのめっちょな所を手でおっぺしたら、なっから痛いんじゃねん。
(突起箇所を手でおしたらかなり痛いんじゃない?)
はらくちぃ***満腹である
(これ以上食べられないの意)
もういいよう。はらくちぃ。
(もう満腹なのでこれ以上いりません。)
ひっぱり名詞親戚やつがちは、○○のひっぱりだかんな。
(彼の家は○○さんと親戚ですから。)
ひっぺがす動詞はがす・脱がす古いポスターひっぺがしてきた。
(古いポスターはがしてきた。)
ぶっくらす動詞殴るあんまし馬鹿こいてるとぶっくらされっぞ!
(あまりに馬鹿なことしてると殴られるよ)
ふっつぁぶく動詞(紙などを)破くテスト用紙ふっつぁぶいちゃったん?
(テスト用紙、破っちゃったの?)
ふんずびる動詞踏む・踏み潰すかぁー、犬のクソふんずびっちゃた。
(あ、犬のふんを踏みつけてしまった。)
(〜)べー副詞?助詞?〜ばかり
〜だらけ
キヤッセ行ったら人べー多くって。
(キヤッセいったら人ばかり多くって。)
ぺそら形容動詞完全に・あっという間にいがまんじゅう3個ぺそら平らげちゃった。
(「いがまんじゅう3個」をあっという間に完全に、平らげてしまった。)
ぼっこす動詞壊すこの建てもん、だいぶくたびれてるからぼっこすべ。
(この建築物は傷んでいるので壊しましょう。)
ほう感嘆詞?ほらそれ取ってくんな(それを取ってください)ほう!(ほら)
ほう、こっちこう!(ほら、こっちに来なさい)
ぼっとかすっと疑問詞もしかするとぼっとかすっと、そうかもなぁ。
めど名詞はなめどべーほってんじゃねぇよ。
       (鼻の穴ばかりほってるんじゃありませんよ)。
めんちょ名詞(顔にできた)おできあれ、○○んち、めんちょできてる。
(あれ、○○君顔におできがある。)
〜やっせ助動詞?〜しよう、〜しなさいこっちきやっせ(こちらに来なさい)
食べやっせ、ほう(食べなさい、ほら)
やまいわい名詞旅から帰っての宴会団体で旅行に行った場合、羽生では数日後、その旅行に行ったメンバーで宴会を開く。やまいわいやっから。
やんばいっす??日常の挨拶「良い塩梅ですね」が転じて「ぃやんばいっす」となった?
朝・昼・晩いつでも使える便利な挨拶。
らって形容詞雑然としている様うぉさっうぉさっしてて、らってだよう。
(右往左往してて雑然としている)
わかいし名詞若者えらいいわかいしだで
(たいそう立派な若者ですね)
わっきゃねぇ形容詞・形容動詞簡単、容易であるそんなこと朝飯前わっきゃねぇよ。
(そのことは簡単・容易に実施できる)
わーりんねぃ感嘆詞日常の挨拶(良くしてもらって)わーりんねぃ
すいません(どうもありがとう)



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(もうちょっと羽生語が知りたいだす。レッスン1)
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