永沼まさと一般質問



平成23年12月定例羽生市議会



1 羽生市における生活保護について


通告に従い、順次一般質問いたします。  最初の質問項目は、羽生市における生活保護についてです。

 生活保護制度は、皆様もご存じのとおり日本国憲法第25条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする制度であります。

 生活保護の受給者数ですが、戦後の混乱期である1951年には204万6,646人が受給していました。この204万人という受給者数は、2011年まで60年間塗りかえられることはありませんでした。その後、日本は戦後復興期から高度経済成長期を迎え、受給者数は減少、1995年の受給者数は88万2,229人となりました。

 ところが、この1995年から受給者数は増加に転じ、1999年、100万人を突破、高齢化や不況によるリストラ、非正規雇用の増加などの理由により受給者数は増え続け、2011年3月には200万人を突破、2012年2月には209万7,401名と過去最多の受給者数を記録しております。

 受給者数の増加に伴い、生活保護の支給総額は2001年、平成13年度に2兆円、2009年、平成21年度には3兆円を突破、現在では3兆7,000億円とも言われているように、急激な右肩上がりとなっており、政府や各地方自治体にとって膨大な財政負担を強いる現状となっております。

 羽生市の生活保護の動向も、国と同じように1994年、平成6年度が最も受給者数、扶助額とも少なく、このときは被保護世帯数が39世帯、扶助額は1億6,695万円、その後増加に転じ、2010年、平成22年度には被保護世帯数が328世帯、扶助額は7億1,461万5,000円と世帯数で約8.4倍、扶助額で4.2倍となっております。

 最後のセーフティーネットとしての生活保護制度ですが、さまざまな問題が噴出しております。私は、この諸問題の中で最大の問題点は、国民のモラルハザードを引き起こしつつあるという点を指摘したいと思います。  例えば、若いころから国民年金の保険料をまじめに納め、老後受け取れる年金額は平成19年で月に厚生年金が16万1,059円、国民年金が5万3,602円、一方生活保護の場合、これは住んでいる地域とか被保護世帯の条件等で一概に金額は言えませんけれども、例えば東京都特別区内在住、単身世帯31歳の場合で月額合計13万7,400円が支給され、さらに税金、医療費、水道費、NHK受信料等、これらの負担が一切かかりません。年金生活より生活保護を受給したほうがお得感ありありの現状であります。これでは、若年層が年金保険料を納めなくなってしまいます。生活保護受給前提の人生設計をすることとなり、モラルが崩壊することになりかねません。

 平成22年度の国民年金の保険料の納付率が59.3%、6割の国民しか納付していません。また、最新のデータでは平成24年2月末現在の納付率57.6%、前年同月比で0.7%減、未納率が着実に増えております。もらえるのだから、もらわなくては損といった風潮が強まれば強まるほど、社会の中で厳しい労働に立ち向かっていくよりも、何とか理由をつけ30代、40代の働き盛り世代でも働かずに生活保護の受給申請をする人たちが増えております。

 埼玉県の最低賃金は、時給759円、1日8時間働いて1カ月24日で計算しますと14万5,728円、ここから税金、医療費、水道代、NHK受信料、NHK見ない人は払いませんけれども、生活保護を受給した場合とどちらが厳しい生活かわかると思います。正直者がばかを見る、そのような制度になりつつあります。

 ここまで、さまざまな問題点を指摘させていただきました。そこで、質問をいたします。

 まず第1に、羽生市における生活保護の概要、そして当局がとらえている問題点についてどのような事案があるのかどうかお伺いいたします。

 最近、巷間をにぎわしたテレビタレントの家族が生活保護給付を受けていた事案ですが、事前審査が不十分であったとの指摘もあり、現場のケースワーカーのマンパワーが不足している現状も報告されております。また、調査に強制力がないなど、制度上の不備も指摘されています。羽生市の場合、ケースワーカーの数が十分足りているのかお伺いいたします。

 さらに、羽生市においてこれまで、この巷間にあるような経済力のある扶養親族が後から発見され、生活保護法第77条による徴収事例があるのかどうか、また同条第2項によります家庭裁判所への申し立てでの徴収実績があったのかどうか、あわせてお伺いいたします。

 また、偽装離婚ややみ収入、財産の隠匿など不法行為の発見事例の有無、そして同法第78条による返還徴収実績についてお伺いいたします。

 羽生市では考えられないとは思いますが、生活保護がいわゆるプアビジネスに食い荒らされているといった報道もあります。比較的審査が通りやすい自治体をねらって、生活保護申請させ、上前をはねたり、さらには医療費が無料であるところから、詐病、いわゆる仮病ですね、により睡眠薬や向精神薬など大量の処方を受けさせ、それらを転売するケースなども疑われております。増大する一方の社会保障費、当然のことながら国民の貴重な税金であります。本当に必要な方々には支給されてしかるべきでありますが、ずさんで甘い審査がまかり通れば、これら犯罪に利用されることもあり得るということを、ここで強く指摘したいと思います。

 最後に、厳しい羽生市の財政ではありますが、生活保護一歩手前、身寄りもなく、わずかな国民年金だけで生活されているお年寄りや、非正規雇用や低賃金での雇用の中、子育てをしている女性など、いわゆるワーキングプアと呼ばれている方々、できれば生活保護受給者並みの生活ができるような羽生市独自の制度なりが構築できないか、最後のセーフティーネットの手前に貧者間の格差是正について、市として対策を講じることができないかをお伺いいたしまして、羽生市における生活保護についての質問を終わります。


2 市内通学路の安全確保状況について


2項目めの質問をさせていただきます。  市内通学路の安全確保状況について質問いたします。


 羽生市議会で以前から指摘しているこの問題ですが、去る4月23日、京都府亀岡市で起きた事件、無免許で夜通し運転したあげく、登校中の小学生の列に突っ込み、児童、保護者10名の死傷者、うち死者3名を出しました。その後、各地で似たような事故が発生したところから、民主党政権になってからの大臣の発言も随分と軽くなりましたけれども、文科相が対策を講じる旨の発言をされ、


また埼玉新聞の5月23日付、ちょうど1カ月後の報道では、1面で「通学路整備前倒し、12年度、県488カ所に拡大」の見出しで、全国で登校中の児童が交通事故に巻き込まれる事故が相次いだことを受け、県は当初計画していた通学路の安全対策を前倒しで実施する。県管理道路を対象に、当初は5年間で694カ所、初年度の2012年度はそのうちの350カ所、改善整備する計画だったが、これを488カ所に拡大し、上田清司知事は22日の定例会見で、悲惨な事故が起きないよう危険箇所を早目に整備することが大事。市町村にも、早目の対応をしていただきたいと述べ、市町村管理道路を含め通学路の安全対策を強化する方針を示したとありました。犠牲者が出ないと前に進まないのかと悲しい思いもありますが、国・県が通学路の安全確保に前向きに取り組み始めたということであり、羽生市においても当初計画の通学路整備の前倒しがあるのか、安全確保に国・県等の補助金等による進捗があるのか、お伺いいたします。


 今回の事故の教訓の1つに、歩行者と車両の物理的分離の必要性、具体的に言うならば、ガードレールの必要性が上げられます。居眠り運転による突入という一方的な物理的暴力に対抗できる防御措置として、通行量の多い市管理道路、通学路においては歩行者と車両を分離するガードレールを整備する必要があると存じます。これらを考慮した整備計画について、当局のお考えをお伺いいたします。


 最後に、報道によれば通学路は市町村管理道路が多い。通学路の安全対策には市町村との連携が不可欠との指摘がありますが、県からこの連携について具体的にどういった働きかけがあったのかをお伺いいたしまして、市内通学路の安全確保状況についての質問を終わります。




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