永沼まさと一般質問
1 羽生市における生活保護について
生活保護制度は、皆様もご存じのとおり日本国憲法第25条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする制度であります。
生活保護の受給者数ですが、戦後の混乱期である1951年には204万6,646人が受給していました。この204万人という受給者数は、2011年まで60年間塗りかえられることはありませんでした。その後、日本は戦後復興期から高度経済成長期を迎え、受給者数は減少、1995年の受給者数は88万2,229人となりました。
ところが、この1995年から受給者数は増加に転じ、1999年、100万人を突破、高齢化や不況によるリストラ、非正規雇用の増加などの理由により受給者数は増え続け、2011年3月には200万人を突破、2012年2月には209万7,401名と過去最多の受給者数を記録しております。
受給者数の増加に伴い、生活保護の支給総額は2001年、平成13年度に2兆円、2009年、平成21年度には3兆円を突破、現在では3兆7,000億円とも言われているように、急激な右肩上がりとなっており、政府や各地方自治体にとって膨大な財政負担を強いる現状となっております。
羽生市の生活保護の動向も、国と同じように1994年、平成6年度が最も受給者数、扶助額とも少なく、このときは被保護世帯数が39世帯、扶助額は1億6,695万円、その後増加に転じ、2010年、平成22年度には被保護世帯数が328世帯、扶助額は7億1,461万5,000円と世帯数で約8.4倍、扶助額で4.2倍となっております。
最後のセーフティーネットとしての生活保護制度ですが、さまざまな問題が噴出しております。私は、この諸問題の中で最大の問題点は、国民のモラルハザードを引き起こしつつあるという点を指摘したいと思います。
例えば、若いころから国民年金の保険料をまじめに納め、老後受け取れる年金額は平成19年で月に厚生年金が16万1,059円、国民年金が5万3,602円、一方生活保護の場合、これは住んでいる地域とか被保護世帯の条件等で一概に金額は言えませんけれども、例えば東京都特別区内在住、単身世帯31歳の場合で月額合計13万7,400円が支給され、さらに税金、医療費、水道費、NHK受信料等、これらの負担が一切かかりません。年金生活より生活保護を受給したほうがお得感ありありの現状であります。これでは、若年層が年金保険料を納めなくなってしまいます。生活保護受給前提の人生設計をすることとなり、モラルが崩壊することになりかねません。
平成22年度の国民年金の保険料の納付率が59.3%、6割の国民しか納付していません。また、最新のデータでは平成24年2月末現在の納付率57.6%、前年同月比で0.7%減、未納率が着実に増えております。もらえるのだから、もらわなくては損といった風潮が強まれば強まるほど、社会の中で厳しい労働に立ち向かっていくよりも、何とか理由をつけ30代、40代の働き盛り世代でも働かずに生活保護の受給申請をする人たちが増えております。
埼玉県の最低賃金は、時給759円、1日8時間働いて1カ月24日で計算しますと14万5,728円、ここから税金、医療費、水道代、NHK受信料、NHK見ない人は払いませんけれども、生活保護を受給した場合とどちらが厳しい生活かわかると思います。正直者がばかを見る、そのような制度になりつつあります。
ここまで、さまざまな問題点を指摘させていただきました。そこで、質問をいたします。
まず第1に、羽生市における生活保護の概要、そして当局がとらえている問題点についてどのような事案があるのかどうかお伺いいたします。
最近、巷間をにぎわしたテレビタレントの家族が生活保護給付を受けていた事案ですが、事前審査が不十分であったとの指摘もあり、現場のケースワーカーのマンパワーが不足している現状も報告されております。また、調査に強制力がないなど、制度上の不備も指摘されています。羽生市の場合、ケースワーカーの数が十分足りているのかお伺いいたします。
さらに、羽生市においてこれまで、この巷間にあるような経済力のある扶養親族が後から発見され、生活保護法第77条による徴収事例があるのかどうか、また同条第2項によります家庭裁判所への申し立てでの徴収実績があったのかどうか、あわせてお伺いいたします。
また、偽装離婚ややみ収入、財産の隠匿など不法行為の発見事例の有無、そして同法第78条による返還徴収実績についてお伺いいたします。
羽生市では考えられないとは思いますが、生活保護がいわゆるプアビジネスに食い荒らされているといった報道もあります。比較的審査が通りやすい自治体をねらって、生活保護申請させ、上前をはねたり、さらには医療費が無料であるところから、詐病、いわゆる仮病ですね、により睡眠薬や向精神薬など大量の処方を受けさせ、それらを転売するケースなども疑われております。増大する一方の社会保障費、当然のことながら国民の貴重な税金であります。本当に必要な方々には支給されてしかるべきでありますが、ずさんで甘い審査がまかり通れば、これら犯罪に利用されることもあり得るということを、ここで強く指摘したいと思います。
最後に、厳しい羽生市の財政ではありますが、生活保護一歩手前、身寄りもなく、わずかな国民年金だけで生活されているお年寄りや、非正規雇用や低賃金での雇用の中、子育てをしている女性など、いわゆるワーキングプアと呼ばれている方々、できれば生活保護受給者並みの生活ができるような羽生市独自の制度なりが構築できないか、最後のセーフティーネットの手前に貧者間の格差是正について、市として対策を講じることができないかをお伺いいたしまして、羽生市における生活保護についての質問を終わります。
|
TOPページへ戻る